Corrosion Resistance of Muffler Materials in Automotive Exhaust Gas Condensates

「材料」(J.Soc.Mat.Sci., Japan), Vol. 45, No. 11, pp. 1192-1197,Nov.1996
論 文
自動車排気ガス凝縮水環境におけるマフラー用材料の耐食性評価+
宇城 工*北沢 真**佐藤 進**
Corrosion Resistance of Muffler Materials in Automotive Exhaust
Gas Condensates
by
Takumi UJIRO*, Makoto KITAZAWA** and Susumu SATOH**
The inside corrosion of automotive mufflers collected in North America was investigated. Aluminized stee corroded severely by automotive exhaust gas condensates. The morphology of the corrosion of alumi-nized steel was a pit with a diameter of a couple of millimeters and Al coating remained around the pit. This pit-shaped corrosion is characteristic of the inside corrosion of aluminized steel and causes large corrosion depth. Low-Cr steels (type 409 : 11%Cr-0.2%Ti, type 410L: 13%Cr-0.01%C) sustained a large number of pits,while high-Cr stainless steel (type 430J1L : 19%Cr-0.5%Cu-0.5%Nb) corroded slightly. The corrosion resistance of these materials was studied with a naewly developed condensate corrosion test method which simulates the inside corrosion of automotive mufflers, especially the pit-shaped corrosion of aluminized steel.The life of the materials was estimated by extreme value analysis of the maximum corrosion depth obtained by the new test. The life of type 409 steel was 3.3 times as long as that of aluminized steel and the life of type 436 stainless steel (18%Cr-1%Mo-0.3%Ti) was 1.7 times as long as that of type 409 steel.
Key words : Muffler, Automotive exhaust gas condensate, Aluminized steel, Stainless steel,
Maximum corrosion depth, Extreme value analysis
1緒 言近年,自動車マフラー用材料のステンレス化が急速に進められた.従来マフラーはAlめっき鋼と Type 409鋼(11%Cr-Ti)で作られていたが排気凝縮水による内部腐食が激しいために十分な寿命を示さなくなり,より耐食性のよい高Crステンレス鋼(16~19%Cr-Mo/Cu -Ti/Nb)が採用されるようになった.このようにマフラー用材料の腐食環境が厳しくなり,高耐食性の材料が求められるようになった背景には,(1)三元触媒導入による排ガス成分の変化により凝縮水の腐食性が増したこと,(2)エンジンとマフラーの距離が長いFF横置きエンジン車の増加により,マフラー温度が低下し凝縮水が生成しやすくなったこと,(3)セカンドカーなどの近距離運転用途が増加し凝縮水がマフラー内に残留しやすくなったこと,(4)凝縮水が滞留しやすくなったために北米等で散布される融雪塩による塩害が顕著になったこと,(5)自動車の保証期間延長が求められるようになり,他の部品と比べたマフラーの寿命の短さが問題となってきたことなどが上げられる.
しかしながら凝縮水腐食に関しては,そのメカニズム1)~8)が種々検討されているものの,実際の車の腐食状況を再現し得る評価試験方法はまだ確立されていない.従って新たにマフラー用材料として採用された高Crステンレス鋼の耐食性の評価は,今後の実車における使用結果により確認せざるを得ない状況にある.
本研究では,北米で回収した実車マフラーの腐食状況を調査し,その結果に基づいて開発したマフラー内部腐食を再現する凝縮水腐食試験方法により各種マフラー用材料の耐食性を評価し,さらに極値統計解析を用いて材料の寿命予測を行った結果を報告する.
2実験方法
2·1 実車マフラーの腐食状況調査
北米で約2~5万km走行していた三元触媒搭載の1500~2000ccエンジンの乗用車よりマフラーを回収し,腐食状況,腐食部の断面ミクロ組織観察,EPMAによる腐食生成物の分析,侵食深さ測定を行った.マフラーはAlめっき鋼(付着量120g/㎡)およびType 409(11%Cr-0.2%Ti),410L(13%Cr-0.01%C)の低Crステンレス鋼,Type 430J1L(19%Cr-0.5%Cu-0.5%Nb)の高Crステンレス鋼により構成されている.典型的なマフラーの構造と各部の名称をFig.1に示す.
2·2 凝縮水腐食試験
2·2·1 供試材 凝縮水腐食試験に用いた供試材は商用工程で製造されたAlめっき鋼,Type 409鋼,436鋼の冷延焼なまし板であり,その化学成分をTableIに示す.Alめっきの付着量は80g/㎡ D.
2·2·2 凝縮水腐食試験方 滑药部食は凝縮水の蒸発濃縮過程で生じろこ、が明らかにない9)~11)るため,凝縮水腐食試験とル Fig.21 ビーミーを用いたDip &Dry 試験を採用した.工程で製光さ
原稿受理 平成8年2月6日Received Feb. 6,1996
* 正会員川崎製鉄(株)技術研究所〒260千葉市中央区川崎町,Tech.Res.Labs.,Kawasaki Steel Co., Chuo-ku,C.ha,260
**川崎製鉄(株)技術研究所〒260千葉市中央区川崎町,Tech.Res.Labs.,Kawasaki Steel Co., Chuo-ku,Chiba,260
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自動車排気ガス凝縮水環境におけるマフラー用材料の耐食性評価 1193

Fig. 1. Typical layout of mufflers.
Table I. Chemical compositions of steels used (mass %).
Steel | C | Si | Mn | P | S | Cr | Ni | Ti | Mo |
Aluminized steel | 0.047 | 0.12 | 0.31 | 0.013 | 0.004 | 0.03 | 0.02 | ||
Type 409 | 0.010 | 0.26 | 0.29 | 0.029 | 0.002 | 11.1 | 0.07 | 0.24 | |
Type 436 | 0.007 | 0.07 | 0.14 | 0.027 | 0.005 | 17.6 | 0.14 | 0.30 | 1.3 |
れたままの表面の供試材を50x100mmの寸法に切断し,アセトンにて脱脂した後,大気中にて400℃x5hの予備酸化処理を行った.この酸化処理は実際の自動車マフラーに生じるテンパーカラーを再現している.自動車マフラーの温度は排気温の上昇に伴って高くなり,高速走行のような場合には最高400℃にも達するため,酸化によるテンパーカラーが生じ材料の耐食性に影響を与え12) 13).14)る.自動車マフラーの温度変化を測定した報告によると,マフラー内部腐食が多く発生する近距離走行の場合の温度は70℃付近であり,40km/hの定速走行では凝縮水は80℃以下で乾燥·濃縮することから,試験温度は80℃とした.
腐食試験に用いた合成凝縮水の組成をTable IIに示すが,これは自動車技術会が行った20km/hクルーズでの凝縮水分析データ(ガソリンの硫黄含有量約30015)mass ppm)の平均値を5倍の濃度にしたものであり,CO32-を除く各イオンの量比は凝縮水分析値と同じになっている.HCHOとHCOO-以外のイオンはアンモニウム塩として添加しているため合成凝縮水のpHは約15)8.9であり,これは実際の凝縮水の値7.9に比較的近い.また,マフラー内面に付着するすすの影響をシミュレートするため,粉末状の活性炭素(関東化学(株)製)を添加した.未燃焼の炭素であるすすがマフラー内部腐食に影6響を及ぼすことは既に報告されている.
腐食試験の要領はFig.2に示すが,所定のサイクルを終了した試験片から腐食生成物を除去し,最大侵食深さと腐食減量により耐食性を評価した.
2·3 極値統計解析
自動車マフラーは貫通孔が生じると消音機能の減少や排ガスの運転室内への進入が起こり得るため,その寿命はマフラー全体の中での最大侵食深さによって評価されることになる.最大侵食深さのようなばらつきゃすいデータを評価する場合は極値統計の手法による解析が有効1とされている.また,各種材料のマフラーとしての寿命

Fig. 2. Newly developed condensate corrosion test method.
Table II. Chemical composition of synthetic ex-haust gas condensate (mass ppm).
CI-* | 50 | CH,COO-* | 400 |
250 | HCHO | 250 | |
SO2-* | 1250 | HCOO- | 100 |
2000 | NH+* | 1934 | |
NO2 | 100 | Activated carbon | 50g/L |
NO,-* | 20 |
* Added as ammonium salts

Fig. 3. Division in a specimen for statistical analysis of extreme values.
を予測するためには,ラボ実験に用いた小試験片の最大侵食深さより実際のマフラーの大きさで生じる最大侵食深さを推定する必要があり,このような場合にも極値統計解析は有効である.本実験においては侵食深さデータを極値統計解析するために試験片(50x100mm)を短冊状の小区画(10x100mm)に分割し,各小区画で最大侵食深さを測定した.Fig.3に試験片上の区分を示す.試験片は縦方向,表裏では腐食条件がほぼ均一と考えられるため,1試験片当たり10個の等価な区画が得られ,各条件2枚の試験片から20個の統計解析用の最大侵食深さデータが得られる.このように1試験片を等価な小区画に分割して極値統計解析する手法は亜鉛めっき鋼板18)の穴あき腐食でも試みられている.
各最大侵食深さデータは二重指数分布(Gumbel 分布)に従 1方七して解析を行った.累積確率は平均ランク法により,直線回帰は最小分散線形不偏推定子法(MVLUE法)により求め,実際のマフラーの表面積を2600c㎡として最大侵食深さを推定した.







A:Aluminized steel (120 g/m |
(a1), (a2): Aluminized steel (inner shell)
(b1),(b2):Type 409 steel (baffle plate)
(c1),(c2):Type 430J1L steel (inner shell)
(a1),(b1),(c1):As-corroded
(a2), (b2), (c2): After removing of corrosion products
Fig. 4. Corroded parts of aluminized steel, type 409
steel, and type 430 J1L stainless steel of mufflers
collected in North America.
3実験結果
3·1 実車マフラーの腐食状況
北米で走行していた車より回収したマフラーの内部腐食部の外観と断面ミクロ組織をそれぞれFig.4,5に示す.Al めっき鋼の腐食が激しい部分では鋼板が完全に溶損し,大きな穴が開いているが,腐食が比較的初期の段階ではめっき層下の地鉄の部分でピット状に腐食が生じている(Fig.5(a)).このピット状の腐食は直径1~2mm 程度に成長したものが多く,その周囲のAlめっきは残存している.このことはマフラー内部腐食ではAlめっきの犠牲防食効果が有効に働いていないことを示しており,その原因は地鉄とAlめっき層の間に貴なFe-Al 19)合金層が存在すること,およびAlめっき表面に耐食性0に優れた安定な酸化皮膜が生成することによって Al めっきの犠牲防食効果が阻害されるためと考えられる.このような周囲にAlめっき層を残したピット状の腐食がマフラー内部腐食の特徴であり,そのためにAlめっき鋼に貫通穴が生じゃすくなっている.また,このようなピット状の腐食は通常の外気面の塩害による腐食では生じない.
Type 409鋼では細かい孔食が多数発生しており,部分的には全面腐食に近い侵食も生じていた.Type 30J1L 鋼は加工時の傷部で腐食している場合が多く,発生した孔食はType 409鋼の場合に比べて小さい.
腐食生成物をEPMAで分析したところ,Alめっき鋼の場合にはSが多く検出され,CIは少なかった.ステンレス鋼の腐食生成物にはSと共にCIも検出された.
回収したマフラーの最大侵食深さをFig.6に示す.マ
(a1)
50μm
(b1)
50μm
(c1)
50μm
(a1),(a2):Aluminized steel (inner shell)
(b1),(b2):Type 409 steel (baffle plate)
(c1),(c2):Type 430J1L steel (inner shell)
Fig. 5. Cross-sectional micrographs of the corroded parts of aluminized steel, type 409 steel, and type 430 J1L stainless steel of mufflers collected in North America.

L:Low Cr stainless steels (Type409, 410L)
H:High Cr stainless steel (Type 430J1L)
Car A:21000 km, 26 months
Car B:29000 km, 15 months Car C:43000 km,20 months Car D :36000 km, 17 months
Car E:49000 km, 30 months
Fig. 6. Corrosion depth of mufflers collected in
North America.
フラーの内部腐食は,車の走行条件のみならずマフラー内部での部位によっても凝縮水の生成·蒸発状況が異なるため,腐食の程度も違ってくる.そのためマフラー材料の耐食性を比較するには,同じ車の使用部位が互いに近いもので侵食深さを比較する必要がある.Car A,Car Cのインナーシェルとバッフルプレートを比較すると,Al めっき鋼は低Crステンレス鋼である Type 409,410L鋼の1.6~4.1倍の最大侵食深さとなっている.また,CarBのバッフルプレートとパイプを比較すると,Type 409 鋼は高 Cr ステンレスである Type 430J1L 鋼
Fig. 8. Maximum corrosion depth and corrosion loss of steels after 10 cycles of condensate corro-sion test. |
自動車排気ガス凝縮水環境におけるマフラー用材料の耐食性評価 1195
の3.1倍の最大侵食深さとなっている.
3·2 凝縮水腐食試験結果
実車マフラーの腐食状況調査結果に示したように,マフラー内部腐食においては Al めっき鋼にピット状の腐食が生じることが特徴であり,そのためにAl めっき鋼の侵食深さが大きくなり,マフラーの寿命を短くしている.マフラー内部腐食試験においてはこのピット状腐食を再現することが重要であり,めっき鋼板の耐食性評価によく用いられている塩水噴霧→乾燥→湿潤といったサイクル腐食試験では,Alの犠牲防食効果が働くためにピット状の腐食は生じない.
本研究で開発した凝縮水腐食試験後の試験片の断面ミクロ組織をFig.7に示す.Alめっき鋼には実車マフラーに観察されたものと同様のピット状腐食が再現されている.Type 409鋼では孔食が数多く生じており,Type 436鋼ではType 409鋼に比べて小さい孔食が生じている.本試験において Al めっき鋼のピット状腐食が再現されている原因は,ピット状腐食が活性炭素付着部に集中して発生することおよび活性炭素添加量の増加に伴っ10)てAlめっき鋼の侵食深さが著しく増大することから,21)活性炭素によるカソード反応促進作用が地鉄部分に及んでその溶解を増大させることが大きく影響していると考えられる.また,予備酸化処理によりAlめっき鋼の表面に生成する保護作用のある酸化皮膜もAlめっきの犠牲防食作用を抑制してピット状腐食を促進させていると考えられる.

Fig. 7. Cross-sectional micrographs of condensate corrosion test specimens.

試験片の腐食生成物をEPMAで分析すると,実車マフラーの分析結果と同様に,Alめっき鋼ではSが多く検出されステンレス鋼ではS以外にC1も検出された.
10サイクル試験後の試験片全体としての最大侵食深さと腐食減量をFig.8に示す.Alめっき鋼の最大侵食深さはType 409鋼の1.8倍であり,また Type 409鋼はType 436鋼の3.6倍の最大侵食深さとなっている.最大侵食深さの材料間での相対関係はもちろんサイクル数によって変化するが,10サイクル後のType 409鋼の侵食深さは0.27mmであり,この値は先の実車マフラーにおける低Crステンレス鋼の平均的侵食深さに等しい.従って侵食深さの絶対値がほぼ等しい条件において,本試験における最大侵食深さの材料間での相対関係は実車マフラーの調査結果とほぼ対応している.
以上のように本凝縮水腐食試験は,腐食形態,腐食生成物,侵食深さのいずれもが実車マフラーの内部腐食をよく再現している.
4 極値統計解析によるマフラー用材料の寿命予測
前述した極値統計解析の手法に従って凝縮水腐食試験後の各材料の最大侵食深さデータを Gumbel 確率プロットした結果をFig.9に示す.いずれの最大侵食深さデータにおいても良好な直線関係が得られ,二重指数分布に従うことが明らかである.試験片の小区画(10c㎡)から実際のマフラー(表面積2600c㎡)に生じる最大侵食深さを再帰期間260(=2600/10)として推定した.AI めっき鋼,Type 409 鋼,Type 436 鋼製マフラーで生じると推定される最大侵食深さはそれぞれ0.74,0.32,0.12mmとなった.
試験サイクル数を変えた時の最大侵食深さデータの分布およびマフラーに生じる推定最大侵食深さをFig.10~12に示す.Alめっき鋼はサイクル数の増加に伴い最大侵食深さのばらつきが大きくなり,腐食の局在化が進むことを示している.これは先に述べたようにAlめっきの犠牲防食効果が働かず,ピット状腐食を起こした部分に腐食が集中するためと考えられる.一方,Type

Fig. 9. Doubly exponential probability plots of the maximum corrosion depth of steels after 10cycles of condensate corrosion test.


Fig. 12. Doubly exponential probability plots of the maximum corrosion depth of type 436 steel. |
1196 宇城 工,北沢 真,佐藤 進
Fig. 10. Doubly exponential probability plots of the maximum corrosion depth of aluminized steel.

Fig. 11. Doubly exponential probability plots of the maximum corrosion depth of type 409 steel.

Fig. 13. Relation between estimated maximum corrosion depth and period of condensate corro-sion test.
409 鋼ではサイクル数が増加しても最大侵食深さのばらつきは殆んど変わらず,平均的に侵食深さが増大する.還元性のある SO32-を含む凝縮水が濃縮した場合,Type 409のような低Cr鋼では不働態皮膜が不安定に11).22)なることから,腐食の局在化が顕著にはならなかったものと考えられる.しかし,Type 436のような高Crステンレス鋼では不動態皮膜が強固であるため,侵食深さは小さいものの腐食の局在化傾向はサイクル数と共に増大する.
マフラーに生じる推定最大侵食深さの試験期間(サイクル数)による変化をFig.13に示す.寿命の判断はマフラーの中で一番板厚が薄いインナーシェル(0.6mm)に貫通穴が生じる時とした.Alめっき鋼,Type 409鋼,Type 436鋼の寿命はそれぞれ250h,830h,1370hとなり, Type 409 鋼はAl めっき鋼の3.3倍,Type 436 鋼はType 409 鋼の1.7倍の寿命を示すと推定された.
5結 言
北米で回収した実車マフラーの内部腐食状況を調査し,
その結果に基づいて開発したマフラー内部腐食を再現する凝縮水腐食試験方法により各種マフラー用材料の耐食性を評価した.その結果を極値統計解析することにより寿命予測を行った.得られた結果を以下に示す.
(1)実車マフラーの内部腐食において,Alめっき鋼はめっき層下の地鉄の部分でピット状に腐食が生じており,Alめっきの犠牲防食効果が有効に働いていないことを示している.Type 409鋼には多数の孔食と一部全面腐食に近い侵食が生じ,Type 430J1L鋼には主に加工傷部に浅い孔食が生じていた.
(2)限られた台数の実車マフラー内部腐食調査結果ではあるが,Alめっき鋼の侵食深さはType 409鋼の1.6~4.1倍であり,Type 409鋼はType 430J1L 鋼の3.1倍の侵食深さであった.
(3)新たに開発した凝縮水腐食試験は,腐食形態,腐食生成物,最大侵食深さの材料間での相対関係のいずれもが実車マフラーの内部腐食をよく再現する.
(4)凝縮水腐食試験における最大侵食深さを極値統計
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解析した結果,Type 409 鋼のマフラー材料としての寿命はAlめっき鋼の3.3倍,Type 436鋼は Type 409鋼の1.7倍の寿命を示すと推定された.
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11 mmn 書 評
I11 mmim
“先端材料シリーズ 表面処理と材料”
日本材料科学会(編)
(1996年,裳華房,B5判,239ページ,定価5665円)
本書は,表面処理と題しているが,内容的には最近の表面改質に関する新しい技術·方法,主として反応速度が大きく,効率的かつ制御が比較的容易な気相成膜技術について詳細に記述している.特に,鉄鋼材料に限定せず,一般的な金属材料,セラミックス,さらには半導体をも対象としている.第一章では,物理蒸着法(PVD)および化学蒸着法(CVD)について述べられている.PVDの分野では,プラズマを応用したイオンプレーティング,スパッタリング,真空蒸着などの各プロセスの複合化が進みつつある現状を述べている.CVDにおいては,ダイヤモンド,BN皮膜が気相法によって容易に作製できること,保護膜,機能膜として将来有望であることなどが述べられている.第二章では,イオン窒化法およびイオン浸炭法について歴史的背景をベースに記述している.両方法を用いた多くの研究·利用報告例を紹介し,疲労および磨耗に関する問題に有効であることが述べられている.また,最近の非鉄金属,チタンやアルミニウム,さらには高融点金属に対するイオン窒化の例を記述している.第三章では,溶射法について述べている.特に,溶射プラズマ法の広範囲な適用例を中心に,優れた代表的な特徴を述べると共に,将来の多くの応用の可能性を指摘しており,興味が持たれる.第4章では,レーザによる表面処理について記述している.新しい方法であるが,その効用が未だ充分に分かっていない.しかし,他の方法では得られないような効果が報告され,未知の可能性を有する方法とて有望視されている.局所的な表面改質や,急冷凝固組織が得られる利点を生かした新規の応用例が期待される分野である.各章とも非常に多くの文献を挙げ,有機的に調査·解説されている.当然ながら,この分野の今後の新しい動向や展開についても述べられており,この分野の既存の研究者,技術者のみならず,将来この分野と関わり合うと思われる若い研究者や学生にとっても良き参考書になるものと思われる.
(大阪府立大学 東 健司)